2018年5月21日月曜日

懐かしい味を思い出して

5月のある日のことです。しょうじゅの里 茂原
のデイサービスフロアーでの出来事をご紹介
致します。
その日の朝、掘りたての筍を頂いたので
利用者様と荒皮(外側の硬い皮)を剥いて
いると、それを見ていた利用者様が
『この部分は使えるんだよ。』
『おやつ代わりによく食べたもんだよ』
と仰いました。皮を食べる?おやつに?
むむ・・・? 謎を解くために利用者様に
教わりながら、真似をしてみました。
まず、ハサミで皮を手のひら位に切り、内側の
中央に『梅干し』を挟み、二つに折りました。

『昔は食べるものに不自由してたから、梅干し
をこんな風に食べてたのよ』と、仰って二つ折り
にした皮の部分を勢いよく吸い始めました。
 
『戦時中は食べる物もなくて、色々工夫
したんだ』と教えて下さいました。
 
職員も真似して吸ってみましたが、
『固いし、土の味しかしない』と残念な感想
でした。『脇から吸わないと味がしないの
では?』との意見も出て、脇から見ると
梅干しはこんな感じです。
 
すると別の利用者様から『思い出した、
こんな風に皮の外側をしごいて、産毛を取る
のよ』と。
 
なるほど!皮が薄く軟らかくなり、吸いやすく
なりました。梅干しも増量して吸ってみると、
皮越しに梅干しの味がしてきました。
 
『そうそう、懐かしいね。』
『お腹が空いてたからこんな物でも昔は
美味しかったのよ』と目を細め、昔を思い出し
ながら味わっていらっしゃる様でした。
 
昔のことを思い出して言葉にしたり、
相手の話を聞いて刺激を受けたりすることが
認知症の予防や心理療法に効果があると
期待されている『回想法』ですが、今回
計らずとも実践することとなったようです。
この日のおやつは甘いイチゴの
オムレットでした。
『こっちの方が美味いよ』と笑いながら、
昔話に会話も弾んでいました。
今後も、日常の何気ない一コマをこちらの
ブログでご紹介していきたいと思っています。